FOR YOUR EYES ONLY (1981年/主演:ロジャー・ムーア)
 007 ユア・アイズ・オンリー


 セイコー ハイブリッド JET088
 セイコー ダイバープロフェッショナル




登場シーン解説

 今回は液晶にメッセージ

外した時計をオウムが咥えて・・・ 海に落とされる

前2作に続き引き続きセイコーの時計が登場するが、今回はデジタルではなくアナログとデジタルの両方の表示があるハイブリッド(アナデジまたはデジアナ)タイプのものだ。

劇中の仕様では衛星による無線通信機能を備えており、 音声だけでなく液晶部分にポケベルのようにメッセージを表示することも可能になっている。 この機能は映画の最後にオチ(?)として使われる。 Qの呼びかけのあとに、首相(サッチャー似)と会話をするというもの。 だが、ボンドはそれどころではなく(笑)その会話はそばにいるオウムが相手をするのだが、 これがふざけすぎではあるがいかにもムーア作品らしく面白い。 最後にはそのオウムが時計をくわえて海に落とす。



ヘリウム混合の飽和潜水 せっかくATACを回収したのに敵に取られてしまう

そして本作ではボンドはもう1つ別の時計をつけているシーンがある。
ATAC(超低周波発信機・ミサイル誘導装置)を積んで沈没した船を捜索しているときにセイコーのダイバープロフェッショナルのような時計が確認できる。文字盤がはっきりと映るわけでもないが、 ベゼルまわりが金色っぽいのとその異様に大きいケースが特徴的なモデルなのですぐにわかる。

これはボンドの私物でも、情報部の支給でもなく、おそらくは潜水艇に備え付けのものではないかと思われる。だが、ボンドがつけていたという点では非常に興味深い時計である。



時計解説

ハイブリッド JET088

このボンドの時計と同じものは日本でも\33,000で発売されていたらしい。液晶部分にはカレンダー及びアラームが表示される。劇中では赤っぽい文字になっているが、実際の時計は普通の液晶にみられるような色になるとのこと。(Thanks!>ストラングウェイズさん)

こういったアナログとデジタルのハイブリッドタイプは現在でもいくつかのメーカーから発売されているようだが、 どれもブリスターパックなどで吊られている安価なものだ。この当時のものは画像を見ても分かる通りケースも厚くずっしりしている。

ダイバープロフェッショナル

セイコーから70年代中頃に発売された初代のダイバープロフェッショナルは機械式だったが、ボンドがつけていたモデルは その中身をクォーツにしてケースの色を変更した78年発売の600m防水のダイバープロフェッショナルと思われる。 現在でも飽和潜水のできるプロ仕様ダイバーズウォッチとしてセイコーから後継モデルが販売されている。

飽和潜水に関してはあまり詳しくはわからないが、時計雑誌などの説明によれば専門的な深いところに潜る際に空気だけでは酸素が重くて吸い込めないのでヘリウムとの混合酸素で加圧する潜水方法のことらしい。

したがってこの飽和潜水には加圧、減圧のできる部屋を備えた潜水艇などの設備が必要になるが、劇中でもボンドとメリナは海中で 作業を終えたあと潜水艇の減圧室に入っている。このとき普通の時計であれば、どんな防水時計でも加圧時に時計に混入したヘリウムが減圧した際に中からガラスを吹き飛ばしてしまうのである。

そのため飽和潜水で使用するにはヘリウムエスケープバルブなどをを備えた時計、ロレックスのシードゥエラーやブライトリングのスーパーオーシャン、 後にボンドウオッチとして採用されることになるオメガのシーマスタープロフェッショナルなどが必要になる。 劇中で使われたセイコーのダイバープロフェッショナルはヘリウムエスケープバルブはなく、特殊パッキンなどによって 一切ヘリウムが入らない構造にすることによって飽和潜水でも利用できるようになっている。



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