The World Is Not Enough (1999年/主演:ピアース・ブロスナン)
 ワールド・イズ・ノット・イナフ


 オメガ シーマスタープロフェッショナル 2531.80




登場シーン解説

最初に大写しになるのはスキーアクションの最後の雪崩のシーン。雪に埋もれたがQの特製ジャケット(エアバッグ機能で身体を包み込む)のおかげで なんとか助かる。真っ暗になった空間でボンドが時計のベゼルを回すと非常灯として機能するのだ。

雪崩のシーンで使う非常灯

普通のシーマスターと違い文字盤の中心付近にも外周のインデックスと同じような似たような白い丸があり、ここが発光しているようだ。 時計が光るだけなら普通のデジタル時計なんかでもあるので特にたいした機能というわけではないが、電池のない機械式時計なのにこの電力がどこにあるのかが気になる。 それもかなり明るいぞ。

次は核実験施設のシーン。閉じ込められて逃げ道を塞がれてしまったところで登場。先端にフックのついたワイヤーを発射し 上に上がるシーンがある(バットマンのようだ)。ワイヤーをどのようにして巻いているのかまでは分からないが、ブレスの輪を手でつかんでスッーと上に上がるのだ!! 予告編にもこのシーンは写っているが、なかなかカッコイイ!!(笑)

これがフック 発射!!

ベゼルを回すとフックがせり出してくるのだが、この時、夜光塗料の塗布してある文字盤のインデックスの4時と5時の位置が なぜか黒くなる。これはよくわからないがなかなか凝った仕掛けだ。 鉄の柱に刺さってしかも一人分の体重を支えながらワイヤーを巻き取っていくのだからきっとすごいモーターが内蔵されているんだろう。 というか本来ならあんなワイヤーが時計本体に収まるはずもなく、DVDに収録されていたメイキングでは時計とつながったワイヤーを 束ねて置いてあるシーンが確認できる。また絵コンテではボンドの時計はインダイヤルのあるクロノグラフになっていることに注目。 ただの絵コンテだから雰囲気だけで書かれたものかもしれないが妙に気になってしまう。

このフック系の秘密兵器は過去の作品でもいくつか出てきているのでそんなに面白いものではないかもしれないが、起爆装置以外の機能がついたボンドウォッチは久々のような気がするので 少々嬉しかったりもする。

前出の非常灯機能を搭載したシーマスターと、このフックのあるシーマスターの2つだが、文字盤の デザインからそれぞれ別のものと思われる。ボンドが予備をもっていたのかどこかで調達したのだろう。

他に時計が目立つシーンとしてはラストで潜水艦のシーンがある。潜水艦の外に出てハッチが開くのを待っているシーンがある。ここでボンドは時計を見るのだが、 水中ではゴーグルをしていないので文字盤がハッキリ見えるはずもない。特に時間を決めてハッチを開けるということではなかったので 「まだ開かないのか!」というボンドの心理を描写した演出なのだろう。そしてボンドも反射的に時計を見てしまったということなのかもしれない。 実際にそんな表情に見える(のは気のせいか?) 水中ではかなり手足を動かして泳いでいるので、やはりダイバーズウォッチでよかったなぁなんて思ってしまう。



時計解説

背景が意味不明だぞ

本作も前作同様、シーマスタープロフェッショナル300mの機械式(自動巻)の2531.80が採用された。

一部劇場では映画のボートチェイスのシーンを使ったオメガのコマーシャルも流れた。
テムズ河の水面をシーマスターの青い文字盤に見立てたところは秀逸。最初見たときはもう少しアップテンポな曲かボンドのテーマでも流せばいいのになぁと思ったが、 やはりGarbageの主題歌のサビに画面の針の動きがマッチしていたし、品があっていいのかもしれない。 もちろん、フックを発射するシーンも写っている。最後にブレスの輪が「007」になるというのもベタではあるかもしれないが面白い。下手なナレーションもなく、なかなかカッコイイCMだ。 難点は水面に映るシーマスターの文字盤が“CHRONOMETER”表記のないクォーツモデルの文字盤である点だ。

タイアップ広告が映画パンフをはじめ、いくつかの雑誌に掲載されているが、前2作で作られた物と比べ物にならないほどお粗末。背景が意味不明だ。 オメガのホームページに掲載されたものは劇中でワイヤーを発射する場面を使ったものでそちらのほうがカッコよかったのに。やはりタキシードでなければいけないのか?

また、オメガと映画のタイアップイベントのようなものも行われている(オメガのページで見られる)。出席したピアース・ブロスナンと1999年12月19日に交通事故により この世を去ったQ役のデズモンド・リューウェリンの腕にはシーマスター(2531.80)が確認できる。 ブロスナンは両腕につけていたりしてサービス精神旺盛(笑)。シーマスターGMTなどもしていたので、映画にも登場するのかと期待したが、ここではただの宣伝だったようだ。

ブロスナンはボンドとしてだけでなく個人としてもオメガと契約しているので、過去に新製品の発表会などにも出席したりしている。



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