CASINO ROYALE (2006年/主演:ダニエル・クレイグ)
 カジノ・ロワイヤル


 オメガ シーマスタープラネットオーシャン 2900.50.91
 オメガ シーマスタープロフェッショナル 2220.80




登場シーン解説

本作では前半のプラネットオーシャンと後半のレギュラーモデルと2種類のモデルが使用されている。 しかし両方ともその作風からか秘密兵器でもなんでもない普通の時計なのである。 実は秘密兵器が内蔵されていて使わなかっただけかもしれないが、かなりの危機的状況でも使われなかったことから、やはりただの時計なのかもしれない。 したがってMI-6支給品なのかボンドの私物なのかも不明である。

前半のプラネットオーシャンはラバーストラップのモデルで、冒頭のマダガスカルの爆弾魔チェイスのシーンや、 マイアミ空港でのアクションシーンで使われている。

車の後ろにつかまっているところ

なかなかアップになるシーンがないものの、ボンドが何かにつかまっているシーンなどで大きな文字盤と黒いストラップが判別できる。

人体の不思議展にて 発信機を埋め込まれるシーンで

後半はカジノシーンより少し前の列車内のシーンからレギュラーモデルのプロフェッショナルを使用している。やはりスーツにはラバーストラップではなく金属のブレスが自然ということだろう。旧作でショーン・コネリーがスーツ(タキシード)姿でNATOストラップのサブマリーナをつけていたが、あれは例外なのかもしれない。

アストン・マーティンが横転して大破し、ル・シッフルらに連行されるシーンでもつけているが、 その後の拷問シーンでは裸になってはいたが後ろ手に縛られている状態なので時計の有無は確認できない。 常識的に考えて時計は連中に取られるであろことから、ここで1つ紛失したと考えることもできるだろう。

その後ボンドが解放されて元気になってベスパーとイチャイチャしているシーンなどでは再び時計をつけているのが確認できる(療養中に支給されたものなのかもしれない) そしてヴェニスで、赤い服を着たヴェスパーを追跡するシーンでも着けているのだが、そのシークエンスの最後のほうの 崩壊する建物の中での激しい戦闘中〜水中でボンドがヴェスパーを救い出そうとするシーンまでのどこかでまた行方不明になっていることがわかる。 さらにその後、ボートの上からVAIOをいじりながらMに電話するシーンではまたいつものシーマスタープロフェッショナルをつけている。

このときは着けている ここでは確認できない
また着けている ここの後から慰めの報酬につながる

数回紛失(あくまで仮説)した後も同じものに取り替えているということを考えると やはりイギリス情報部の標準支給品なのかもしれない。 格闘中になんらかの理由(ブレスのピンが外れるとか中留め部分が外れるとか)で紛失してしまったのであればハードな任務をこなす00要員の装備としては実に問題だ(笑)

それに比べてラバーストラップのプラネットオーシャンは前半のアクションで跳んだり跳ねたり地面を転がったりとブロスナン時代には考えられないほどの激しい動きをしていても問題なかったようだ。

本作ではいずれも普通の時計ではあったが、やはり任務の性質上、頑丈で正確な時計が重要であると認識させられた。




時計解説

なかなかカッコイイ広告

本作での2つの時計はともにオメガの最新テクノロジーであるコーアクシャルという新機構が採用されており、 これによりオーバーホールまでの期間も従来のものより長くなる。任務に忙しいボンドにはもってこいの時計とも言える。

プロフェッショナルのほうは一見するとブロスナンが使用していたモデル(2531.80)と同じに見えるが 実は別モデルで、文字盤の「Seamaster」の字が赤くなっていて、下の方には「CO-AXIAL」という文字列が追加されている。 新機構採用のためか価格も従来のモデルよりもかなり高いものになっている。

プラネットオーシャンはかつて60年代ごろのシーマスターのダイヤルをモチーフにしており、 くさび形の針やインデックス、6、9、12の数字などで非常に視認性のいいものとなっている。 また防水性能も600mまで引き上げられている。 42mm径の2901.50.91とビッグサイズの45mm径の2900.50.91とあるようだがボンドモデルは後者のようだ。

またプラネットオーシャンは秒針に「007」のロゴがついたもの、 プロフェッショナルのほうは文字盤全体がガンバレルの渦巻きをあしらったものなどの007限定モデルが発売されている。

本作の中で特筆すべきはモンテネグロの列車内でのボンドとベスパーの会話でである。

ベスパー
 「...former SAS types with easy smiles and expensive watches」(笑顔と高級時計を身に付けた元特殊部隊員?)
 「-Rolex?」(ロレックス?)
ボンド
 「Omega」(オメガだ)
ベスパー
 「Beautiful」(ステキ)

ベスパーにとっては特殊部隊はロレックスをしているみたいな認識があるのも面白い。

それはさておき、このくだり、ちょっと不自然に思えてしまうくらい露骨に主人公にブランド名を言わせている。 それもライバルであるロレックスの名前を引き合いに出して。 本作には特殊機能のある時計が出なかったためこのような露出方法となったのだろうが 単に時刻を確認する時に文字盤を大写しにしてあげるだけでいいのではないか。

過去数十年のボンド映画を振り返れば、看板が同じ制作会社の映画だったり、スポンサーロゴを目立たせたりと かなりわかりやすいシーンは多数ある。いまや映画やドラマでは当たり前となった“タイアップ”であるが、 世界規模のスクリーンの中に商品を映すというやり方は、ボンド映画が元祖とも言える。 まして世界各地でロケを行うボンド映画はその制作費もハンパではないためこうしてタイアップにより資金を調達することは 非常に重要である。見方によっては、タイアップによってここまでシリーズが続いてきたと言っても過言ではない。 観客側もボンドと同じ物が欲しいと思ってしまう訳で、それもまた一つの楽しみ方かもしれない。




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