SPECTRE (2015年/主演:ダニエル・クレイグ)
 スぺクター


 オメガ シーマスターアクアテラ マスターコーアクシャル 231.10.42.21.03.003
 オメガ シーマスター300 “スペクター”限定モデル 233.32.41.21.01.001
 オメガ クロノグラフ キャリバー321(※)



登場シーン解説

向かいの建物のずいぶん目立つところから狙撃 ボンドのアパートにて

オープニングシークエンスのメキシコの『死者の日』でマルコ・スキアラの狙撃を試みようとするシーンでアクアテラを着用しているのがわかる。 特にこれといった特殊機能はなさそうだ。オープニングタイトルを挟んで続くMのオフィスやボンドの自宅でもメタルブレスの時計が確認できる。おそらくは同じアクアテラだろう。



そしてQのオフィスにて「時間がわかる」「遅刻を防げる」そして「アラームの音がかなり大きい」というQとの軽妙なやり取りをしながら受け取るシーマスター300。

昔とは違い、今回はちゃんと幅が合っているストラップ 時間がわかる アクアテラはちょっとお休み

ボンドとQの2人が正面を向いて「時間がわかる」というシーンにいたってはいかにもオメガのプロモーションといった感じだが、実際にオメガのYouTubeのタイアップ動画でもしっかり使われている。 また、歩きながらアクアテラと思われる時計を外して受け取ったばかりのシーマスターに付け替えるという過去作では見られないシーンがある。

その後、スキアラの葬儀やカーチェイス終盤の車からの脱出シーン、ホテル・アメリカンや列車で銃について説明するシーンなどで、ちょこちょこと時計が映る。 メタルブレスでなく縞模様のナイロンのストラップはよく目立つ。


久しぶりに時計がピンチを救う 何十年たっても秘密兵器の基本は爆弾だ 早くしないと爆発するよ 床をすべらせる

さて、久しぶりの秘密兵器としての活躍シーン。敵の施設で拘束され後ろ手に縛られたボンドはこの爆弾を内蔵したこの時計を手首から外す。 ボタンを押すとインデックスが赤くなりセットされる。針が通過するとインデックスは白くなり、「1分」と言ってマドレーヌに手渡してから 大写しになるシーンでは赤い分が少なく残り数秒と視覚的にわかりやすくなっている(ベゼルの位置が違うのは単なるミス?)。 機能がアクティベートされると赤くなるインデックスは『死ぬのは奴らだ』のオマージュだろう。

過去のインタビューなどでも言及されていたが監督のサム・メンデスや主演のダニエル・クレイグが『死ぬのは奴らだ』が好きということも かなり影響しているように思われ、それらは映画冒頭のメキシコでの祭り、ドクロのモチーフや、白いジャケット、黒のタートルネックに革のホルスターを装着したポスター などからよくわかる。

廃墟になったMI6にて

終盤のイギリスに戻ってきてからのシーンは暗い画面なので、はっきりとは確認できないものの、 メタルブレスの時計をしていることから、おそらくは映画冒頭と同じアクアテラをしているのではないかと思われる。



クロノグラフに見える 革のストラップ

そして、映画のラスト、「1つ忘れ物をしてね」といってQのオフィスに来たボンドが、 助手席にマドレーヌを乗せてアストン・マーティンDB5で出発するシーン。 ここでなんと、革の手袋でシフトレバーを握る左手には、黒革のストラップ、そしてクロノグラフとおぼしき時計がちょっとだけ映る。 任務を離れるという意味合いとヴィンテージカーにはヴィンテージ時計ということだろうか、ボンドの私物なのかもしれない。





時計解説

冒頭と終盤には単なる時計としてアクアテラを使用し、中盤、久しぶりの秘密兵器内蔵時計としてシーマスター300を使用している模様。

アクアテラは前作『スカイフォール』と同じブルーダイヤルであるものの、ムーブメントがマスターコーアクシャルとなり大きさも違うモデルを装着している。
特筆すべきはやはり、NATOストラップといわれるストライプの入ったナイロンのストラップに換装したシーマスター300。 昔のシーマスターのデザインを採用したいわば復刻デザインとも呼ばれるものであるが、もちろんムーブメントは最新のマスターコーアクシャルを採用。

007限定モデルとして発売されたものが劇中で使われるのは初めてとなる。 過去、007とのタイアップで発売されたシーマスターは文字盤や裏蓋に007と入っていたりするものの、 劇中で使用されたモデルとは異なっていたが、今回は7007個の限定モデルが劇中で使用されることとなった。
このモデルはベゼルや秒針なども通常のレギュラーモデルとは異なり、過去のショーン・コネリーが使用していたサブマリーナにインスパイアされる形で、 NATOストラップを装着している。『ゴールドフィンガー』『サンダーボール作戦』以来のおよそ50年ぶりだろうか。

ただ、一つ気になる点としては、このストラップの遊環(先を差し込む部分)に「007」と刻印されてしまっているところだろう。 007限定モデルをアピールしているのだろうが、劇中で007と刻印された時計を007が装着しているのはいささか滑稽ではある。 ボンドは刻印のないものを装着していたものと願いたい。

なお今回も映画の公開を記念してアクアテラの007限定モデル(231.10.42.21.03.004)が発売されており、 文字盤や秒針にはボンド家の紋章をあしらい、シースルーの裏蓋からはガンバレルデザインのローターが確認できるモデルが存在するが、 これは過去の限定モデルと同様、劇中には登場しない。


また、今回サプライズ的な要素として、ラストシーンでわずかに映る時計が、アクアテラでもシーマスターでもないのである。 古いクロノグラフだが、スポンサーのオメガの時計であることは想像に難くないが、現行モデルではないためかプロモーション等でも まったく触れられなかった。したがって正確な機種名は不明である。
ただ海外サイト(※)ではオメガのキャリバー321を搭載したヴィンテージクロノグラフだろうと推測されているようだ。

※ BOND LIFESTYLE - Vintage Omega Chronograph Caliber 321 -
https://www.jamesbondlifestyle.com/product/vintage-omega-chronograph-caliber-321





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